α-リポ酸

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原料の概要

α-リポ酸(チオクト酸)はミトコンドリア内に存在する物質で、糖代謝の過程で産生されるピルビン酸をアセチルCoAに変化させるピルビン酸デヒドロゲナーゼを活性化させるものです。そのため、糖が最終的にエネルギーとなるためには不可欠といえるでしょう。α-リポ酸はもともと糖尿病の疼痛緩和薬に使用されているものですが、平成16年の法改正によって、「一般に食品として飲食に供されるものであって添加物として使用されるもの」という扱いで食品への使用が認められました。さらに平成19年には化粧品への配合ができるようになっています(粘膜に使用するものを除く)。

α-リポ酸は合成法によって製造されますが、従来の方法では有機溶媒が成分に残ってしまうことが問題でした。そこで、有機溶媒を規定値以下にする方法が開発され、食品にも問題なく使用されるようになったのです。

α-リポ酸は糖代謝のサポートのほかに脂質代謝や筋肉増強、美肌にも効果があることがわかっています。そのため、美容全般に関する製品で有効に機能性を発揮することが期待できるでしょう。また、α-リポ酸はもともと糖尿病の改善薬として使用されていたこともあり、生活習慣病の予防への効果といった利点もあります。

期待できる主な作用

・ダイエットに関する作用

α-リポ酸がダイエットにもたらす効果はさまざまにあり、異なるアプローチからダイエットをサポートすることが可能です。たとえば、α-リポ酸には筋肉損傷の回復作用が認められています。筋肉の損傷回復には、α-リポ酸が筋肉を作る成分の1つであるクレアチンを補給する役割が深く関連します。この作用により、運動などで損傷した筋肉を回復させ、脂質代謝の後押しをすることが期待されるのです。また、α-リポ酸は筋肉中のミトコンドリアを脱共役させてエネルギー産生を促す作用もあるとされ、効率的なエネルギー産生が得られると注目されています。

さらに筋肉細胞の増殖に関しては、ラットの筋芽細胞で検証が行われています。筋芽細胞にα-リポ酸を添加した後、24時間経過した後の細胞増殖の様子を観察すると、細胞の増殖作用が認められました。さらにマウスにα-リポ酸を混ぜた餌を与えて24日間観察した結果、マウスのヒラメ筋の重量が増加したことも確認されています。これらの結果からα-リポ酸が筋肉に働きかける作用により、筋肉中の糖及び脂質の代謝を活発にし、糖質が脂質に変換するのを防ぐことが期待できるのです。

そしてダイエットには脂肪の代謝が必要ですが、α-リポ酸は脂肪に働きかけるさまざまな作用もあるとされています。脂肪細胞に対するホルモン刺激による変化を検証した結果、細胞の大きさおよび内包油滴が小さくなったことが確認されたのです。さらに、糖質を脂肪に変換するGPDH(グリセロール3-リン酸デヒドロゲナーゼ)と呼ばれる酵素の働きをα-リポ酸が阻害し、糖質が脂質に変換・蓄積されるのを防ぐことが明らかとなりました。さらに、マウスを使った検証ではα-リポ酸を13日間投与して運動させた結果、体重増加を抑制する作用も認められています。特に体重増加抑制の効果を明確に出すためには、α-リポ酸の投与だけではなく運動による負荷を合わせることが必要です。

また、ヒトの肝細胞とラットの筋芽細胞において、それぞれα-リポ酸による脂質代謝に関与する遺伝子の発現を検証した結果もあります。脂質代謝にはCPTやACOX、AMPKといった遺伝子が関わっており、これらの遺伝子の発現をα-リポ酸が促進させたのです。この結果により、α-リポ酸は遺伝子レベルで脂質代謝をサポートするものと考えられます。さらに、各細胞内に存在するトリグリセリド量を測定した結果、減少傾向にあったことも確認されています。つまり、α-リポ酸の脂質に対する作用は、GPDHの阻害による間接的なものと、脂質代謝に関わる遺伝子の発現という直接的なものの2つのパターンが存在するのです。そのため、脂質をより効率的に代謝し、ダイエット効果が期待できます。

以上の脂質に関する作用について、ヒト(男性)を対象とした検証もしています。健康な男性数人を、α-リポ酸を100mg摂取するグループと200mg摂取するグループに分け、4週間後の肥満指標と血中の成分について測定しました。すると、100mg摂取グループでは体脂肪率や脂肪量、ヒップサイズなどに有意な減少がみられたほか、200mg摂取グループではこれらに加えて皮下脂肪の厚さも減少しました。そして血中の糖質およびトリグリセリド量に関しても減少していたほか、エネルギー産生における副産物・クレアチニンが増加したという結果が報告されています。つまり、α-リポ酸の筋肉細胞増殖・脂肪蓄積抑制作用によって、血中の糖質や脂質代謝が活性化されたと考えられます。

以上のような結果により、α-リポ酸はダイエットに非常に有意な効果があることがわかります。そして、脂質代謝の促進作用に加え、糖質の代謝も効率的に行うことから、生活習慣病の改善にも有益であると考えられます。 つまり、現代人の健康な生活をα-リポ酸の多様な作用がサポートしてくれるというわけです。

・美容に関する作用

α-リポ酸は、美容にもさまざまな作用をもたらすとされています。たとえば美白作用について、メラノーマ細胞にα-リポ酸を添加したところ、濃度依存的にメラニン生成が抑制されました。またモルモットを使った検証では、α-リポ酸を投与したグループと何も与えないグループに分けました。そして、その後に皮膚に紫外線を照射して色素沈着を作り、経過を観察しました。その結果、何も与えないグループでは色素沈着が著しかったものの、α-リポ酸を投与したグループでは明らかに皮膚の色が明るくなりました。これにより、α-リポ酸が皮膚における色素沈着を抑制し、美白効果が期待できることが明らかとなりました。

さらに、美しい肌を作るための作用に関してもα-リポ酸が有益であることが確認されています。ヒトの新生児線維芽細胞においてα-リポ酸が増殖をサポートするか検証を行った結果、低濃度でも増殖を促進させることがわかりました。つまり、ヒトの皮膚のターンオーバーの要となる線維芽細胞の増殖が促進されることで、皮膚を健康な状態に保つことが考えられます。

また、ヒトの皮膚細胞の疑似モデルを使用してα-リポ酸が皮膚のターンオーバーにどのような作用を及ぼすかの検証も行われています。その結果、顆粒層の細胞が整ったうえ表皮全体の厚さの減少がみられました。これは、顆粒層の上の角質層まで細胞が押し上げられる動きが正常に行われていることを示します 。またこの検証では、顆粒層が角質層に浸潤する傾向も見られ、顆粒層の細胞が順調に角質層に移っていることを表すものと考えられます。以上のような作用により、α-リポ酸には肌のターンオーバー促進作用があることが明らかとなりました。

上記にあげた美白効果によって肌に透明感が生まれ、美しさや健やかさを醸し出すことが可能になります。また線維芽細胞の増殖と肌のターンオーバー促進は、相乗効果で肌を健やかでみずみずしい状態に保つでしょう。また、この作用は肌のハリやツヤを作ることにも関係します。α-リポ酸は、肌を若々しく導くためにも役に立ってくれるわけです。

その他、皮膚細胞が酸化することによって老化現象がみられるようになりますが、α-リポ酸は酸化を防ぐSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)と同様の働きについて、濃度依存的に活性化することが認められました。また、DPPHラジカルを消去する作用も濃度依存的にみられ、いずれも抗酸化作用につながるものと考えられます。

どんなサプリ(食品)に向いているか

α-リポ酸は、主に筋肉増強のためのサプリに使用されることが多く、スポーツと併用する目的で販売されています。その他、美容目的で化粧品に使用されることもありますが、口腔内など粘膜に使用するものでないものに限定されています。

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