アスタキサンチン

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原料の概要

アスタキサンチンはカロテノイドであり、自然界に存在する赤い色素・キサントフィルの一種です。アスタキサンチンは、海中で育つ赤い単細胞性緑藻であるヘマトコッカス藻などに含まれ、その藻類を摂取したエビなどの甲殻類、サケなどの魚類における甲殻や筋肉組織の赤みを作り出します。また、サケの卵であるイクラの色でもあり、紫外線などの外的刺激などから細胞を守る役割があるといわれているのです。そして、アスタキサンチンを健康食品の成分として配合するときは、ヘマトコッカス藻を原料として精製したものを使用します。

アスタキサンチンは、強い抗酸化作用があり、同じく優れた抗酸化作用を持つβカロテンのおよそ40倍、ビタミンEのおよそ1000倍とされています。さらにアスタキサンチンは血液脳関門を透過する性質があることから、脳の血管などの組織に移行することが可能となり、脳組織でも有効な抗酸化作用を発揮するといわれています。

その他にも、疲労予防や美容、抗炎症などさまざまな効果があることがわかっており、優れた健康効果が期待されています。

期待できる主な作用

・抗酸化作用

前述のように、アスタキサンチンは強い抗酸化作用を持つ成分です。アスタキサンチンを蓄積させたエビやサケ、イクラなどの細胞が活性酸素に侵されるのを防ぐ役割があるとされています。そして、ヒトの体内でも同様に活性酸素を除去する高い能力を持つと考えられるのです。

アスタキサンチンの分子構造は、ヒドロキシル基とケトン基、共役ポリエンを含んでおり、それぞれに抗酸化作用を発揮すると見られています。そして、抗酸化をもたらす作用には2種類あり、1つは一重項酸素の消去、もう1つは脂質過酸化の抑制です。

一重項酸素とは活性酸素の一種であり、体内にある光増感物質に光が当たり有機物質が酸化する際に発生するものです。一重項酸素はトリプトファンやシステインなどのアミノ残基を酸化しタンパク質を壊します。さらに一重項酸素は、不飽和脂肪酸から過酸化脂質を生成するのです。

この一重項酸素を消去させる能力を持つアスタキサンチンは、他の代表的なカロテノイドよりも優れていることがわかっています。ある報告によると、一重項酸素発生剤にアスタキサンチンをはじめ、カンタキサンチンやβカロテン、フコキサンチンなど全6種類のカロテノイドを加えて一重項酸素の消去定数を求めたところアスタキサンチンが最高値であったと報告されています。

また、脂質の過酸化は不飽和脂肪酸から連鎖的に過酸化反応をすることにより、細胞膜や組織を破壊し動脈硬化や老化などの現象が引き起こされる原因となっています。さらに、脂質過酸化は、細胞内のタンパク質やレセプターの機能も奪ってしまいます。

アスタキサンチンは、脂質過酸化により生成される脂質ヒドロペルオキシドを抑制させ、脂質過酸化の連鎖反応を抑制させることが知られています。ラットを使った検証では、肝臓ミトコンドリアの脂質過酸化をアスタキサンチンが強力に抑制することがわかっており、その効果はα-トコフェロールのおよそ1000倍にも及ぶという結果が出ています。

さらにアスタキサンチンは細胞膜に取り込まれ、細胞膜の表面や内部など全体にわたって活性酸素から守る作用も認められています。これにより、細胞膜が脂質過酸化によって破壊されるのを防ぎ、細胞を健全な状態に保つことが期待されています。

・眼精疲労予防作用

アスタキサンチンには、眼精疲労を改善して目の機能を健全に保つ作用もあるとされています。この作用についてはヒトによる検証が行われており、まず眼精疲労を患っている人をアスタキサンチン投与グループと何も与えないグループに分けます。そして、準他覚的調整力・調節緊張速度・調節弛緩速度といった眼精疲労の指標となる数値を測定しました。その結果、いずれの数値においてもアスタキサンチン投与グループでは明らかな改善が見られたのです。

また、同時に行ったアンケートでは、目に関する自覚症状やそれに付随する気分的な要因について、アスタキサンチン投与グループに有意な改善が確認されています。

・美容作用

また、アスタキサンチンには肌の水分や弾力を保持する能力があるとも注目されています。その作用機序は、紫外線によって生成された一重項酸素をアスタキサンチンが消去する作用により、コラーゲンの酸化や分解を防ぎ、肌コラーゲンを保護すると考えられています。

ヒトの女性による検証結果では、アスタキサンチン投与グループと何も与えないグループでは、アスタキサンチン投与グループにおいて水分・弾力やしわなどの改善が報告されています。また、ヘアレスマウスにアスタキサンチンを塗布し、UVBを週5回照射したところ、肌にシワができにくくなり弾力を保つという報告があります。

・動脈硬化抑制作用

アスタキサンチンには、アテローム性動脈硬化を抑制して健康な血管を維持する効果があることも判明しています。アテローム性動脈硬化が起こる機序は、血管内膜に蓄積しLDLコレステロールが酸化されます。それをマクロファージが捕食する事により泡沫細胞に変化します。これが血管内膜に取り込まれて不安定型のアテロームプラークに変化すると、血管内膜が損傷しやすくなり細胞の壊死や血管の閉塞などが起こる原因となるのです。

アスタキサンチンには、血管内膜で不安定アテロームプラークが形成されるのを防ぐ働きが確認されています。高脂血症モデルのウサギにアスタキサンチンを投与した結果、不安定アテロームプラークを抑制するだけではなく、血管内膜の強度を増す安定アテロームプラークを形成することがわかったのです。

・抗炎症作用

アスタキサンチンは、細菌感染などによる炎症を抑える効果が認められています。細菌感染が起こるとマクロファージなどが細菌を捕食しますが、その結果サイトカインの生成過剰や、一酸化窒素の過剰産生につながります。必要以上に生産されたサイトカインや一酸化窒素は組織障害を引き起こすのです。

こうしたマクロファージの働きによって過剰に発生する炎症因子について、アスタキサンチンが有意に抑制することが認められています。炎症を起こしたマウスにアスタキサンチンを投与したところ、一酸化窒素や様々なサイトカインの産生を抑制することが確認されたのです。

・脳機能改善作用

アスタキサンチンは、前述でも少し触れたように血液脳関門を透過できる成分です。つまり、成分を脳細胞にまで行き届かせることが可能であるため、脳細胞の脂質過酸化の抑制にも効果が見込めるのです。脳に脂質過酸化が起こると、脳梗塞や老化などさまざまな弊害が起こる可能性が高いですが、アスタキサンチンにはこれを防ぐ効果が期待できます。このアスタキサンチンの特徴は、他の代表的な抗酸化物質にはあまり見られないものです。

どんなサプリ(食品)に向いているか

アスタキサンチンは、眼精疲労の予防や改善、また抗酸化作用をもととする美容効果に優れているため、これらの作用を目的としたサプリメントやドリンクに配合されることが多いです。またアスタキサンチンは脂溶性であることから、サプリメントに加工するときは成分を閉じ込めるカプセルの形が主となります。

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