ツバメの巣エキス

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原料の概要

ツバメの巣エキスは、主に中国から東南アジアにかけて分布しているアナツバメと呼ばれる燕の巣(燕窩)から抽出される天然のエキスです。アナツバメの巣を構成する成分は、雄の求愛行動時に発達する唾液腺から分泌する唾液といわれます。この燕の巣は古くから高級食材として珍重されているほか、漢方薬として疲労回復や整腸などの健康増進効果があるとされてきました。さらには、女性にうれしい美容効果もあるともいわれているのです。

このように、昔から健康や美容に役立ってきた燕の巣から抽出されるツバメの巣エキスには、私たちの皮膚生成に欠かせない EGF(上皮細胞増殖因子)が含まれていることがわかっています。EGFは複数のアミノ酸から構成されるポリペプチドであり、皮膚を新たに作る上皮細胞の活性化に一役買うものです。ツバメの巣エキスには年齢により減少したEGFの補てんが期待でき、アンチエイジングに効果が見込めるとされています。

また、ツバメの巣エキスにはシアル酸と呼ばれる成分も多く含まれています。シアル酸はノイラミン酸のアシル誘導体であり、そのなかでもN-アセチルノイラミン酸がツバメの巣エキスに豊富な成分です。体内の糖タンパク質・糖脂質に連なるように存在するシアル酸は、体内へ異物が侵入したときに反応したり、細胞同士で情報を伝達したりなどといった役割を持ちます。そのため、免疫力や学習能力の向上に役立つと考えられているのです。ツバメの巣エキスにおけるシアル酸の含有量は牛乳や卵黄よりも高いとされ、より効率的なシアル酸の摂取が可能となります。

期待できる主な作用

ツバメの巣エキスに期待できる具体的な作用を見てみましょう。

・皮膚細胞増殖

ツバメの巣エキスに含まれるEGFは、皮膚組織のなかでもケラチンを生成するケラチノサイトや線維芽細胞の増殖を促す作用があると考えられています。ケラチノサイトの活性化によってケラチンが生成されることで、肌に細やかなキメが生まれ美しい肌を維持できます。さらに、線維芽細胞は真皮に存在するコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった組織を生成し、肌のハリや弾力を保つのです。EGFによってケラチノサイトや線維芽細胞が活性化すれば、肌のキメやハリ、弾力を維持できるわけです。そして肌が新しく生まれ変わるサイクルであるターンオーバーを促進させることにもつながり、乾燥やくすみなどの改善も期待されるでしょう。そのため、肌の老化を防ぎいつまでも若々しい肌でいられるということなのです。

この作用を検証したデータでは、ツバメの巣エキスの作用によるケラチノサイトと線維芽細胞の増殖率において、いずれも濃度依存的に効果が高くなったことが確認されています。この結果から、ツバメの巣エキスは健康な肌を維持することができ、アンチエイジングにも一役買うことが期待されるのです。

・創傷治癒

ケガや手術の後の傷を修復するのは新たな皮膚の生成であり、それを促すのはやはりEGFです。EGFによって上皮細胞が増殖し、さらに増殖した細胞が創傷部分に移動することで治癒していきます。つまり、EGFを含むツバメの巣エキスには、創傷を回復させる作用も見込めるということです。この作用を立証する実験方法では、まずシャーレでケラチノサイトを培養した後、ケラチノサイトに傷を作ります。そしてその傷にツバメの巣エキスを添加してケラチノサイトへの影響を観察しました。その結果、ケラチノサイトが明らかに増殖し、傷ができた部分に細胞を産生したのです。そのため、ツバメの巣エキスで傷をふさぐスピードが速くなると見られています。

・TJ(タイトジャンクション)強化

私たちの表皮にある顆粒層では、細胞同士に隙間ができないように密着し、水分の放出を防ぐ仕組みが作られています。その細胞間を埋める働きをするのがTJ(タイトジャンクション)と呼ばれる構造です。TJは、角質層の細胞間を埋めるセラミドなどによるバリア機能に次いで、顆粒層におけるバリア機能ということもできるでしょう。このTJはタンパク質の一種であるクローディンやオクルディンといった成分で構成され、これらは細胞膜上で細胞間の隙間を埋めています。

そしてツバメの巣エキスには、このTJを強化する働きも期待できるのです。前出の実験と同様に、シャーレにケラチノサイトを培養させた後、ツバメの巣エキスを添加してクローディン1と4の遺伝子およびタンパクの発現や影響を検証したところ、有益な効果が出ています。この実験で効果を発揮したツバメの巣エキスの濃度は0.1%以上であり、少量でも効果が見込めることがわかりました。さらにツバメの巣エキスは、細胞間のシーリング作用も促進させたという結果が出ています。

ツバメの巣エキスが持つ皮膚細胞増殖やTJ強化といった作用を検証するために、ヒトをモニターとした実験も行われています。1つめの方法では、複数の女性にツバメの巣エキスを1ヵ月間経口摂取してもらい、その後に皮膚の水分や乾燥、弾力やコラーゲン密度などを測定しました。すると、モニターである女性全員について皮膚の水分蒸散が抑えられ、乾燥を示す角質のはがれも減少していたのです。さらに、弾力やコラーゲン密度も増加したという結果が得られています。

2つめの実験では複数の男女をモニターとし、ツバメの巣エキスを配合したジェルおよびプラセボジェルを1ヵ月間塗布して効果を比較しました。すると、ツバメの巣エキスを塗布した部分においてプラセボジェル塗布の場合よりも弾力が増し、さらに水分の蒸散も抑えることができたのです。さらに、かかとのひび割れに対する効果も検証したところ、ツバメの巣エキスを塗布すると明確な改善が確認できたとされています。

・育毛作用

ツバメの巣エキスにおいては、育毛にも効果があることがわかっています。ヒトモニター試験では、AGA(男性型脱毛症)の人6名の患部にツバメの巣に含まれるシアル酸を塗布しました。すると6名中5名において、明確な薄毛の改善が見られたのです。これは、シアル酸の働きで知覚神経が刺激されて、IGF-1(インスリン用成長因子)の産生が促進された結果、育毛に関与する毛母細胞が活性化したためと見られます。

・その他の作用

ツバメの巣エキスがもたらすその他の作用としては、抗インフルエンザ作用もあげられます。ツバメの巣エキスに含まれるシアル酸は、体内でインフルエンザウイルスを死滅させる酵素・ノイラミニダーゼと同様の働きをするとされているのです。さらに、インフルエンザの治療薬であるザナミビル(リレンザ)はシアル酸と似た構造を持っていることから、シアル酸はインフルエンザの改善に効果があると見込めます。

そして、シアル酸には情報伝達作用も期待でき、学習能力の向上を図ることができるとされています。ラットを使った実験では、ツバメの巣エキスのシアル酸の大半を占めるN-アセチルノイラミン酸を経口摂取させたところ、記憶能力がアップしたという結果になりました。

さらに、ツバメの巣エキスには抗炎症作用も期待されています。炎症を発症する機序は、LPS(リポ多糖)によってマクロファージが刺激され、炎症物質である一酸化窒素(NO)や腫瘍壊死因子(TNF-α)が産生されるためです。そしてツバメの巣エキスは、NOおよびTNF-1の産生を抑制することがわかっています。

どんなサプリ(食品)に向いているか

ツバメの巣エキスが商品に使用される際は、皮膚細胞増殖作用を利用した美容目的のものが主となります。食品としてはドリンクやサプリメント、パウダードリンクなどに幅広く用いられています。また、化粧水やフェイスマスク、美容クリームなどの化粧品に配合することで、美肌効果を狙う商品も数多く存在します。これらの商品はツバメの巣エキスが主な有効成分とすることもありますし、コラーゲンやプラセンタなど美肌作用の高い成分と組み合わせて相乗効果を狙うことも多いです。

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