フコキサンチン

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原料の概要

フコキサンチンとは、昆布やワカメなどの褐藻類に含まれるカロテノイドの一種です。海藻類にはいくつかの分類があり、褐藻類をはじめ藍藻類・緑藻類などに分類されます。そして特に、フコキサンチンを抽出する原料としてよく用いられる褐藻類・真昆布は、高級食品として珍重されるほか、日本では神事などにも用いられているのはよく知られているところでしょう。

フコキサンチンは、昆布をはじめワカメやヒジキなどからわずかしか抽出されない希少な成分であり、キサントフィル属の非プロビタミンA類カロテノイドに分類されます。各種カロテノイドについては、健康食品への使用を目的とした研究が進められており、フコキサンチンの作用や効果についての機能性も明らかになっているのです。

その作用や効果のなかで特に主なものには、脂質や糖質代謝に関する作用があげられます。フコキサンチンは、これらに対してさまざまなアプローチで働きかけるのです。脂質や糖質代謝の改善作用により肥満や糖尿病の抑制につながり、数々の疾患の引き金になるメタボリックシンドロームの改善につながると注目されています。

期待できる主な作用

・メタボリックシンドロームの予防、改善

フコキサンチンは、脂質や糖質の代謝や吸収に有益な作用をもたらすことから、メタボリックシンドロームの予防や改善に役立つと考えられます。

そもそもメタボリックシンドロームとは、血中のコレステロール量やトリグリセリド量、また血糖値において一定以上の数値を示し、さらに内臓脂肪の蓄積量などが基準値を超えたときに判定されます。特に内臓脂肪は遊離脂肪酸の血中濃度を上昇させることから、高コレステロール血症や高トリグリセリド血症、またインスリン作用への抵抗をもたらし、メタボリックシンドロームの引き金になるのです。さらに内臓脂肪が蓄積すると、糖質・脂質代謝の異常や血管機能不全などを起こすとされるアディポサイトカインの分泌が増加します。この現象についても、メタボリックシンドロームに深く関与しているといわれているのです。

また、脂肪組織の中で白色脂肪組織は脂質を蓄積し、褐色脂肪組織は脂質の燃焼を行いエネルギーから熱を産生する働きを持ちます。よって、白色脂肪組織の量が増えるとその分脂肪が蓄積されやすくなり、肥満状態を引き起こします。一方、褐色脂肪組織に含まれるミトコンドリアは、その内膜にあるUCP1(脱共役タンパク質1)の働きにより脂肪を燃焼させるのです。しかし、褐色脂肪組織は加齢によって減少するとされていることから、UCP1の発現を増加させることで肥満を解消できるのではないかと考えられています。そしてフコキサンチンは、UCP1の発現を増加させることができる希少な成分とされているのです。

上記の内容を踏まえて、フコキサンチンがメタボリックシンドロームに及ぼす作用を見ていきます。まず、フコキサンチンには脂肪の蓄積を抑制する作用があることがわかっています。この作用を検証する方法として、分化させた脂肪細胞3T3-L1にフコキサンチンを添加したところ、脂肪の蓄積を抑制したという結果が報告されました。このように脂肪蓄積を抑えられることから、肥満を予防する効果が期待できるわけです。

マウスを使った実験では、肥満状態にあるマウスについて、フコキサンチンを67.4%含有したフコキサンチン分画を餌に混ぜたグループと、通常の餌を与えたグループに分けました。そして4週間後に内臓脂肪量を測定したところ、フコキサンチン分画を与えたグループの方に内臓脂肪の明らかな減少が見られたのです。さらに、フコキサンチン分画投与グループは、内臓脂肪におけるUCP1の発現が活発になったこともわかっています。これにより、脂肪燃焼が活発になって肥満を防止することが見込めるのです。

また、フコキサンチンは血糖値や高インスリン血症にもアプローチすることが確認されています。マウスを使った実験方法では、まず糖尿病を引き起こしたマウスを、餌にフコキサンチンを混ぜたグループと通常の餌を与えたグループに分けます。そして4週間後に、血糖値および高血糖の指針となるインスリンの血中値を測定しました。すると、これらの値についてもフコキサンチン摂取グループにおいて有意に減少していたのです。

さらに脂肪組織から分泌されるホルモン・レプチンの血中濃度においても減少傾向が確認されています。レプチンは白色脂肪組織の増加とともに血中値が上昇するものであることから、フコキサンチンが白色脂肪組織を分解・減少させる作用を発揮し、その結果レプチン値を下げたのではないかと推測されます。

・美容、美白

フコキサンチンは、肌組織の分解を阻害する、また細胞増殖を促すといった美肌作用にも期待が持たれます。さらに、シミやくすみの原因になるメラニン生成の抑制にも役立つとされているのです。

まず、真皮内に存在して肌の弾力や強度を保つコラーゲンは、分解酵素であるコラゲナーゼによって減少することでシワやたるみの原因になります。フコキサンチンは、このコラゲナーゼの働きを阻害することで十分なコラーゲン量を確保し、肌を若々しく保つことができるのです。さらに、加齢で線維芽細胞の増殖が衰えることによってコラーゲンが産生されにくくなりますが、フコキサンチンは線維芽細胞の働きを活性化させ、コラーゲンの産生を助けることも確認されています。

また、肌の水分や弾力を保持する役割を持つヒアルロン酸についても、分解酵素であるヒアルロニダーゼの活性で失われてしまいます。フコキサンチンは、ヒアルロニダーゼの活性についても濃度依存的に阻害する作用があることが判明しているのです。加えて、コラーゲンをつなぎとめるように存在しているエラスチンも、分解酵素であるエラスターゼによって減少してしまいます。そしてエラスターゼの阻害にも、フコキサンチンが有意に働くことが解明されました。

さらにフコキサンチンは、肌のシミやくすみなどを作り出す色素であるメラニンの生成にかかる過程のさまざまな部分でも役に立つと考えられるのです。

メラニンを生成する際に働く酵素であるチロシナーゼはチロシンを生成し、チロシンはドーパキノンに変化します。その後、酸化などの現象を経て最終的にメラニンが生成されるのです。そのため、チロシナーゼを阻害すればそもそもメラニン生成の過程をストップさせることが可能となります。そして、フコキサンチンはそのチロシナーゼ阻害作用を持っていると見られているのです。さらに、B16メラノーマ細胞を使用してフコキサンチンがメラニン生成に及ぼす影響を検証したところ、やはり抑制効果が確認されました。

さらに、メラニンが肌表面で色素沈着する現象においても、フコキサンチンがどのように作用するかが検証されています。褐色モルモットを、フコキサンチン摂取グループと何も与えないグループに分けて紫外線を3日間照射した結果、フコキサンチン摂取グループでは徐々に色素沈着を起こしたものの、紫外線照射から15日目には色素の明らかな消失が認められたのです。

・その他の作用

その他、フコキサンチンはカロテノイドの一種であることから、カロテノイドの特性として各種がんを抑制・予防する作用 があるのではないかと注目されています。

どんなサプリ(食品)に向いているか

フコキサンチンは、メタボリックシンドロームの予防や改善に有効であることから、これを目的としたサプリメントに配合されることがほとんどです。サプリメントの形状はタブレットやカプセルなど、手軽に摂取できる形となります。

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